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こ と ば 遊 び

     
子どもに英語を教える仕事に携わって以来、
日常経験する‘幼い子どもたちの日本語’に関心を持つようになりました。
 
公園で遊んでいる子どもの言葉に、「気に入った表現は、しつこいくらい何度も使ってみるんだなぁ。」
と教わったり、
電車の中での子どもの会話に、「へぇ、こんなに難しくて大人の使うような抽象的な言い回しもできるんだ。」
と感心したり、という具合です。
 
さて、小2クラス(民間の12人クラス)でビンゴゲームをしていた時、「なる程、子どもは‘ことば遊び’
を楽しみながら、ことばを習得していくんだ」 と気付かされたことがあります。
 
全員が共通して持っている18枚の絵カードの中から、各人が選んだ16枚を4x4に並べさせてから、
私が Do you have --? と尋ね、そのカードがあればひっくり返し、指定したパターン(縦・横・斜め
の線が3本できる。ひっくり返ったカードで‘Z’の文字が出来る等)のカードが全部ひっくり返ったら
BINGO!なのですが、クラスは、「あった〜!」 「あった〜!」の大合唱です。 
“I got it." の表現を教えたところ、数分後に、”ハリーネ!(針金)”と応える男の子がいました。
「なる程、I got it.  ハリーネ。 似てるわ。アクセントの場所が同じ、流石に鋭いなぁ。」と感心
していると、直ぐに、大勢の子が 「ハリーネ!」 と叫ぶようになってしまいました!
苦笑しながらも、ま、いいか。 と 放っておいたのですが、数週間後には みんな‘針金’には飽きて
しまったのか、I got it! と、ちゃんと言ってくれるようになりました。
 
「あの時、『ふざけてはいけません!』と注意しなくてよかったなぁ。」
「子どもって 本当にことば遊びが得意なんだなぁ。」 と、つくづく思いました。
 
「正しく言わせること」 だけに神経質にならず、
子どもの感性に添うことも大切なんだな と思います。

                                    岩橋 加代子 (ぼ〜ぐなん





             読者からのお便り    
  「ぼーぐなん広場」、楽しみに読ませて頂いております。
  2学期にこんなことがあったのを思い出しました。
 
  2年生の授業で、動物カードを使っていたときのことです。みんながよく親しんでいる
  20枚のカードのうち、5枚を選びそれを当てさせるゲームをしました。
  S1: Zebra?
  T : Oh, yes! I have a zebra.
  S2: Lion?
  T : Sorry. I don't have a lion.
  S3: Do you have a rabbit?
  T : Yes, I do. I have a rabbit. Good!
  そして、girraffe も当てたところで、ある男の子が「分かった!全部草食だ。」と
  言い出しそのあとはみんな草食動物ばかり聞いてきます。私はそんなつもりは全く
  なく、何となく選んだ5枚だったものですから、大いに焦りました。急に挑戦的になり
  盛り上がってきた子どもたちの期待に添えなかったらどうしようと、素早く頭の中で確認、
  幸い(?)残りの2枚はa sheep と a hippoでした。5枚当て終えた時の子どもたちの
  「やっぱり!」という嬉しそうな顔。途中、 肉食か草食か迷う動物も出てきて、思い
  がけなく Do they eat meat? Meat? Yes, like pork,beef... などのinteraction も
  加わりました。自分の、何となく、を大いに反省し、授業を膨らませてくれた動物好きの
  彼の一言と、それで団結(?)したクラスに感謝し教えられた出来事でした。

                        石田裕子 (星美学園小学校講師)

     編集部しゃ

     石田先生の授業での出来事、いろいろな形で起こることですけれど、
     本当に面白い。子どもの方がずっと上手だなぁ、といつも思います。 (Y.K.)

        「子どもの方がずっと上手」、ほんとにそうですよね。
     子どもたちは、柔軟で、想像力も創造力も推測力もたくましく、
     意味付けをしていくことも得意で、感受性に溢れていて、個性的で、etc.
          そんな姿を見せてもらっているから、この仕事を続けてきたのだと、
     今、あらためて思います。
     そういう子どもたちの才能を潰さないような指導法、これが今私が一番大切
     にしたいと思っていることです。 (K.I.)

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