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  2009年度も終わりに近づいて
  あっという間に梅の花が盛りとなったのも束の間、すでに散り始めたところもあり、
春爛漫の日々も目の前となりました。年明けのご挨拶をしたと思ったのに、もう1年
の4分の1が過ぎ去ろうとしています。今さらながら、光陰矢のごとし、首筋が寒く
なります。

 ご無沙汰のお詫びも兼ねて、この数ヶ月に目にしたこと、感じたことをいくつかご
報告しようと思います。

@小学校をいくつかお訪ねして感じたこと
 どこでも中核研修に参加された先生方が、勤務校での研修プランを立てて、着々と
 研修を進めておられました。できるだけ多くの情報を多方面から吸収して校内の指
 導力アップに供しようとされています。他教科の授業研究と学級経営だけでも大変
 なのに、英語の授業も加えなければならなくなった現状を、何とか乗り切ろうとさ
 れている先生方のお姿に頭の下がる思いです。その時、先生方が最初に出会われる
 指導内容や指導方法が考えの出発点となるので、最初の出会いの大切さを感じます。
 これは人生の節目ごとの出会いと同じですね。

A仕分け人が小学校英語をどう考えているのだろうか、と思ったこと
 小学校英語について、相当に予算が削られそうだ、というのが最初の印象でした。
 予算案が通過して落ち着いてきた今、この1〜2年は英語ノートも配布されるらし
 い、でも研究開発など実証的な研究費はカットされた、電子ボードもナシ、という
 のが一般的な理解のようです。ところが、大都市から離れたところに出かけてみる
 と、意外と電子ボードが入っていて、すでに使われている、あるいは、3月中には
 設置される見込み、というところがあって、全くのゼロではないらしい、地域によ
 って動きが異なるらしい、ということが分かってきました。電子ボードに関しては、
 全教科で使い道が広く、ますます普及していくだろうという気配があります。ただ、
 サイズも機能も異なるものが10種を超えるので、この活用法の研修は一仕事だろ
 うな、と思います。

B5・6年生から必修=英語活動は5年生から開始!
 「本当に5年生からでいいのですか?」という質問を受けます。「今まで低学年か
 らやってきたので、そのまま低学年でも少ないながら時間を確保してカリキュラム
 を作っています。」ということもよく聞きます。20年前は、中学から英語を学習
 し始める、というのが常識だったのですから、5年生からというだけでも2年早ま
 ったわけで、いいではないか、という考え方もあるでしょう。でも中学からの場合
 は最低週3時間は確保されているわけで、5年生になって理論的思考力も備わり、
 知識欲も高まっている子どもたちが、週1回だけで英語に触れていくのは、教師に
 とっても子どもたちにとっても決して学習しやすい環境ではありません。「学習で
 はないのだから…」という答えが返ってきますが、子どもたちを毎日観察されてい
 る先生方の悩みはそう簡単には払拭されないでしょう。何とかして低学年から、と
 努力されている学校の様子にホッと胸をなで下ろしています。

C年間計画の立て方について
 2月くらいから、来年度の年間計画についてご質問を受けるようになりました。英
 語ノートを利用しながらも、それだけでは不安を感じられる先生方がおられるよう
 です。算数、国語、理科、社会、体育、音楽、図工など、どれをとっても、子ども
 の学習順序を軽視することが出来ません。英語だけ、「することの内容」によって
 カリキュラムを組む、ということが子どもの学習順序にマッチしているのか、と考
 え込んでおられます。ご一緒に考えましょうね、と言いながら、ぼーぐなんの
 Action コースの最初の10レッスンの指導順序をご紹介していますが、もう少し
 子どもたちの学習能力に合わせた検討が必要だと思っています。

Dそれにしても思うこと
 結局は、音が基盤なのだ、ということを、事あるごとに噛みしめています。子ども
 が思わず英語を口走るとき、目の前にあるアルファベット文字を何とか読んでみよ
 うと目を凝らすとき、自分の名前が書けるようになって、学校の名前や友だちの名
 前を書こうとするとき、頼るべき「音」がなければ手も足も出ない、少し学習が進
 んで、先生が「今日は Do you have a pencil? という質問をしながら活動をしま
 す」と板書されたのを読もうとする気持ちが湧いたとき、「英語の音」が頭の隅っ
 こにあれば何とか食いつこうとする、そんな子どもの姿を見ながら、やっぱり「英
 語は音から始まるのだ」という思いを新たにしています。

 こんな事を頭の中でお手玉のように弄びながら、広場の周辺をうろうろしていまし
た。桜の咲くころまでには、もう一度頭の中を整理して、新年度へ向けて確かな足取
りで広場にお邪魔しようと思っています。年度末のお忙しい中、先生方もどうぞお元
気で、来年度へ向けてのエネルギーを蓄えてください。


                            久埜百合(中部学院大学)


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