ぼ〜ぐなん広場(80) 導入初期の数の指導について |
Question: 子どもに、数を数えたり、時間を言わせようとしているとき、thirteen を three-teen と言ったり、fifteen を five-teen と言うことがあります。又、13と30、14と40、15 と50などを区別できなかったりすることがあります。簡単な英語で、しかも楽しく数の 指導をする方法はないでしょうか。 Answer: ご質問の問題点は、私も毎年子どもたちに何とかして乗り越えさせたいと思う山の一 つでした。数の聞き取りは高度の英語力が付いてからも間違いやすいものです。母語で 話しているときでさえ数字は聞き間違いが起こることがあります。ちょっとでも間違う と買い物の値段を確かめようとして不愉快な思いをしたり、待ち合わせ時間に遅れたり、 交通機関を使用する際に不便を感じたりしますから、英語でも聞き取れるようにし、こ ちらからも通じやすい発音で伝えられるようにさせたいと思います。ご質問に添いなが ら、私なりに考えてきたことをご紹介してみます。 ・数を教えるのですから、まずは手当たり次第に数えることから始めるのが一番分かり やすいと思います。ポケットの数、ボタンの数、教室の窓の数、机や椅子の数、みん なの筆箱の中の鉛筆の数、黒いランドセルの数、ややレベルを上げて、ピザの好きな 人とスパゲッティの好きな人の数、数えようと思えばいくらでもアイディアは噴出し てきます。 ・次なるアイディアは、英語で数を聞き取って足し算をし、早い者勝ちに答を言う遊び です。最初のうちは、2+3=? 3+7=? のような簡単なものばかりで始めます。直ぐに 答えられるので算数というよりは早や押しクイズのようなものです。簡単すぎるよう ですが、集中して英語を聴き取ろうとすることが目的で、聞き取れたら、すぐさま判 断をして応答するというアクティビティで、子どもたちの頭の中は英語の数字の音で 一杯になりす。 ・このゲームに慣れてきたころ、だんだんに数を大きくして、6+7=? のような出題を します。Thirteen と言っているつもりでも thirty に近い音になってしまうことが あります。そこで、頻繁に13〜19の '-teen' が付く答になるような問題を多く出し ます。特に fifteen が不得意な様子でしたら、What is four and eleven? What is thirteen and two? などのように、 fifteen と言わなければならないものを続けて 聞き取らせます。 ・さらには、答が twenty, thirty, forty, fifty, sixty, seventy, eighty, ninety になる ような計算をさせて答えさせます。音が不正確で誤解を招きそうな音で答えたとき は、正しく言い直して聞かせて、'-teen'の音とアクセント、'-teen' と '-ty' の音の 違いに慣れさせていきます。30+40=? 13+4=? などのように、計算がやさしく、 答が直ぐ分かって答えたくなるような問題を出すのがコツです。 ・ちょっと違ったアクティビティですが、手近なテキストなどを使って、Open your textbooks to page 13 (30, 14, 40, 15, 50など) と言ってページを開かせ、正し く聞き取れたか確かめ合います。お友だちと違うイラストが現れて、おや? という ことで慌てて正しいページを探します。 '-teen' の付く数字の中で子どもたちが不安がるのは、13と15ではないでしょうか。 10を過ぎて11, 12, 13と数字を順番に言っていく活動をしているときに、thirteen ま では、eleven, twelve の続きで、one, two, three, four…とは縁のなさそうなヘン な音で数えるんだな、と思っている。ところが、fourteen となったところで、おぉ、 1, 2, 3, 4 のような「正規の音」で数えるんだな、とホッとして深く考えずアッと言う 間に16, 17, 18… と進んでいってしまいます。次の機会に12以上の数を言うとき、 そうだ、-teen を付けるんだと言うことだけを思い出して、自分なりに考えたルール で、three-teen, five-teenと口からこぼれてしまうのです。その時に、こちらが一息 早くthirteen, fifteen と言っていれば、迷わず thirteen, fifteen と言うのですが、 子どもが言い出すのを少々待つようにすると、自分で考えてthree-teen, four-teen, five-teen と言ってしまう、指導者が間をおかずに twelve, thirteen, fourteen, fifteen… と続けていれば起こらなかった、その瞬間の時間差だろうと思います。 15の次の sixteen, seventeen, eighteen, nineteen も導入して、2桁の数字は 99 まで数えられるようになってからも、three-teen とか five-teen と言ってしまう、と いう事例はあまり経験しておらず、4年生以上になると、比較的早く数字のルールを 使いこなすことができるようになります。だんだん理屈っぽく考えながら学習する力 が伸びていて、自分で納得していくのでしょう。面白いことに、私の経験では6歳以下 の子どもや1, 2年生では、このような間違いが起こりません。幼い子どもはまだ2桁 の数の概念が未熟だ、というのもその理由かと考えられます。そして、数えようとする ときには指導者のリードに頼りきっており、20くらいまでは後についてどんどん数え ますが、その音の不規則性には無頓着のようです。 Input量が少ない現状で、子どもが臆することなく five-teen と言ってしまうのは、 英語を使っている証拠ですから、決してマイナスとは捉えないようにしたいと思います。 ただ、回り道には違いなく、thirteen や fifteen とすんなり正しい音を捉えてくれる方 が望ましいのも事実です。数は日本語にない子音をはっきり発音しないと間違いが起こ るので、ゲーム化した活動を通して、慣れていくようにしたいと思います。 久埜 百合(中部学院大学) 2011.3.7. |
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