ぼ〜ぐなん広場(83)
英語活動: インプット再考
〜デジタル教材が支えてくれる? |
今年も大詰めに近づいてきました。1年を振り返るのは、もう少し後回しにして、第82号 で取り上げた「インプット」について、もう一度考えてみたいと思います。 第82号では、どんなインプットが子どもに受け止められるか、そのためには、インプット を与える側の私たちは、どのようなことに気をつけたいか、ということを考えてみました。 それから2ヶ月近く、「インプット」ということばを反芻していました。正しいアウトプッ トを得たい。これは教師皆が願うところです。正しいアウトプットとは、意思を伝え合う時、 聞き手にも読み手にも安心して受け止められるアウトプットだと考えます。どうしたら、こ のコミュニケーションに役立つアウトプットを身につけることができるでしょうか。答えは 一つ、適切なインプットを子どもに与えられれば、子どもから適切なアウトプットが得られ ます。教師としては、適切なインプットを与える授業をすることに尽きる、と言っていいで しょう。 でも…、私の英語力では…、と小学校英語の授業を担当する教師たちが不安を感じていま す。子どもたちのスポンジのような吸収力を目の当たりにすると、さらに自信がなくなりま す。そんな私たちをサポートしてくれるかも知れない機器を使った授業の発表を聞いてきま したので、お伝えしたいと思います。それは、つい数日前に【外国語教育メディア学会関東 支部】で行われた電子ボード(スマートボード社)を使った授業の発表でした。 一つは、カリタス小学校(神奈川県川崎市)のフランス語の授業でした。 ICTに詳しい、 麻田美晴先生が考案されたソフトを用い、教師と子どもたちが、共にボード上でイラストを 動かしながらアクティビティを続け、フランス語のルールを楽しく身につけていく、という 様子を紹介されました。この小学校では、女子はフランス語、男子は英語を1年生から週1回 年間30回学んでいますが、フランス語を学んでいる6年生が昨年度国際的に認められている 検定試験に挑戦し、好成績を収めた、という報告もあり、子どもたちの中に潜む外国語学習 能力に感銘を受けました。 もう一つの授業は、東京学芸大学附属世田谷小学校の授業で、報告をしてくださったのは、 この「広場」にもときどき立ち寄ってくださる相田眞喜子先生でした。 学習開始期や時間数 は私立小学校ほど恵まれていませんが、English in Action のカリキュラムに沿って、デジタ ル教材を使った授業でした。(注1) 相田先生もICTには大変詳しく、スマートボードの機能 を駆使して子どもたちを惹きつけられ、楽しそうに授業が進行していく様子を紹介されまし た。 このように、電子ボードを使いこなすと、授業の効果を上げることが期待されるのですが、 電子ボードが設置された学校の利用状況はどうなっているでしょうか。 文部科学省は、2011年6月に全国の小学校の電子ボード普及率を公表しましたが、それに よれば、70%の小学校に電子ボードが設置されている、ということです。私が訪れる小学校 でも、電子ボードが設置されているところが急速に増えていると感じています。 しかし、各 学校に1台だけでは、他の教科とも競合するので英語活動にだけ使うことはできません。また、 大きくて重たい機器を階段を上って運ぶのは簡単ではありませんから、どうしても一つの教室 に置かれたままになってしまいます。そのためもあり、設置されていても、あまり活用されて いない印象があります。 関東のある小学校では、3年前に電子ボードとソフトを導入したのに研修が行われず、先生 方はその存在さえ気付いておられなかった、ということがありました。これは極端な例ではな く、届けられたボード1台が職員会議室の片隅に置かれたままになっていたりして、電子ボード はきたけれど、どう授業に活かしていけばいいのか、という研修が遅れているようです。一方、 算数、社会、国語、理科、体育、などなど、多くの教科で活用し、公開研究会を盛んに開かれ ている学校もあります。このような学校間格差が生じていることが気になります。 電子ボードは、黒板と同じように使えます。黒板との違いは、黒板に書いたり提示したもの をそのまま保存することはできませんが、電子ボード上に書き込んだり操作したものは、クラ ス毎に保存ができるので、授業記録は授業終了のベルと共に一瞬でできる、これが大きな強み です。授業の振り返りには強い味方となります。(注2) 電子ボードを使い始めた私たちは、 是非、その使いやすさを紹介し、授業への不安を払拭できるように勉強会を開いていきたいと 考えています。企画が具体化しましたら、このホームページに紹介致しますので、ふるってご 参加ください。お待ちしております。 (注1) 使用教材: English in Action, Word Book, Touch and Learn (注2) ぼーぐなんのデジタル教材は、「スマートボード」 (SMART Technologies社の電子黒板) をお使いの場合のみ「保存」ができます。また、スマートボードをお使いになれば、使用者 のアイディアで自由自在に編集することもできます。 ※スマートボード情報は、こちら を。 久埜 百合(中部学院大学) 2011.11.14. |
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