\2,000 (本体価格)
A5 208

ISBN978-4-938749-47-7 

2008111日 発行

 

書評


子どもと共に歩む
英語教育

 

久埜百合 

  粕谷恭子 岩橋加代子 著


英語の素地を作るとは?

どう教えたらいいの?


‘子どものことばの学び’を見つめ続けてきた久埜百合の

指導理念と指導法の集大成とも言える一冊です。

 English in Action 40レッスンの活動例は
日々の英語活動にご活用いただけるように、
豊富にご紹介しました。         

                                   
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はじめに
 
 この本をつくろうと3人で思い立ってから、2年以上のときが流れました。仲間うちでことを進めて
いる分、字数や締切りなどに融通が利き、充分議論を重ねながら柔軟に本を形にできたのは、若輩の私
たちにとって大変ありがたい学びの場となりました。
 小学生が英語と出会う、という大きな営みについて、その考え方と実践をセットでバランスよく1冊
の本にまとめたいということが3人の出発点でした。ある考え方を形にすると、どんな教材ができ、ど
んな授業になるのか。その考え方に導いてくれた子どもの姿はどんなものだったのか。実際に教材がで
きあがっていくまでの道のりはどのようなものだったのか。このような多岐にわたる場面を、絵巻物の
ように一つに関連付けて提示したいと考えました。
 また、この本が単なる記録にとどまるのではなく、小学校で思いがけず子どもと英語の橋渡しをしな
ければならなくなった多くの担任の先生方をぜひにも励ますという、現代的な役割を果たせるよう心を
くだいて執筆に、編集にあたりました。
 民間の英語教室、私立小学校、国公立小学校等、様々な場で子どもたちは「英語」に触れ、学んでい
ますが、ともすると、大人のわたしたちは、自分たちが学んできた方法を土台にして、子どもが英語と
いう新しいことばを習得していく過程を考えたり、時代と共に如何様にも変っていきがちなカリキュラ
ムという箱の中に子どもの学びを押しこんでしまいます。
 子どもが、生まれながらに持っている、年齢に応じた「ことばを獲得していく力」、という学びの姿
に気づくこと。これが小学生に英語と出会わせようとする者たちの、何よりも大切な一歩だと思います。
 私たち3人が出会ってきた「子どもの学びの姿」の、ひと端でも、皆様にお伝えすることができれば
幸いです。尚、本文は久埜、粕谷と岩橋は、活動例の一部を執筆しました。
                               粕谷 恭子  岩橋加代子
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内容  
 
はじめに 
 
第1章 子どもと英語との出会い  
 
何故子どもに英語と出会わせるのか
 
 ◇親は何故、子どもを英語教室に通わせようとするのか 
 ◇外国語の中でも、英語を選ぶ理由は? 
 ◇どんな英語に触れさせたいのか 
 ◇日本の中でみられる英語環境
     〜外国籍の児童が50%を超える学校もあること〜
 ◇情報教育と英語 
   〜インターネット環境で必要とされる英語〜
 ◇外国の英語教育環境
 
小学校教育課程で英語と出会う子どもたち 
 
 ◇公立小学校の状況 
 ◇子どもの目から見た担任の先生の英語指導
 ◇担任教師が授業をすることで得られるもの
 ◇そう言われても、私の発音で大丈夫だろうか 
 ◇文法の間違いが気になるのだが 
 ALTに完全に任せたほうが安心ではないか 
 ◇子どもが英語の学習を始めたときの家庭の役割 
 
授業ではどんなふうに出会わせるのか
 
 ◇どんな英語を聞かせたいか 〜英語の質の選び方〜 
 ◇小学校英語では文法を教えない、というけれど 
 ◇どんな聞かせ方をしたいのか 〜話しかけるときのコツ〜 
 ◇子どもの心の動きを受け取るTeacher Talk  
 ◇最初の授業で何をする? 
 ◇最初の授業の流れ・・・例えば・・・ 
 ◇教室での気になる表現 
 ◇知らない単語を訊かれて困ったときどうする 
 ◇歌の指導 
 ◇授業で導入する歌の選び方 
 ◇ライム 
 ◇チャンツ 
 
 
2章 子どもはどのように学ぶのか
 
聞くことから始まる英語との出会い
 
 ◇幼い子ども、高学年の子ども 
 ◇英語らしい音を受け取るとき 〜高学年が示す抵抗感〜 
 ◇教わらないのに子どもが既に身に付けている語彙 
 ◇子どもは文字も知っている 
 ◇外国語に触れ始める適期 
   〜高学年から開始、としてよいか〜 
 ◇開始期が異なると、身に付ける英語に違いがあるのか 
 
日本の言語環境で、どこまで英語運用能力を伸ばせるか 
 
 ◇小学校英語についてのいろいろな考え 
 ◇小学校英語で身に付けておきたいこと 
 ◇「素地を身に付ける」ことで育つ能力とは 
 ◇評価の問題 〜何を評価するか〜 
 
 
第3章 子どもと4技能
 
子どもにとっての「聞く・話す・読む・書く」
 
 ◇母語を身に付けたときのこと 
 ◇高学年の年間35=52時間余で
  母語習得初期の 10,000 時間にどう迫るか 
 4技能+thinking 
 ◇外国語習得における
  受動的習得から能動的習得へ向う言語運用能力 
 
英語独特の音の体得
 
 ◇早口ことば
 ◇もう一つの厄介もの・イントネーション 
 
文字指導の考え方
 
 ◇まず、見せておくこと 
 ◇書くことの第一歩
 
 
第4章 教材
 
English in Action制作へ
 
 1980年代の小学校英語についての考え方 
 ◇私が出会った頃のぼーぐなん 
 ◇小学校英語にテキストは必要か 
 
English in Action
 
 English in Action を書き始めた頃の思い  
 40レッスンの構成 
 ◇教材制作過程での語彙の選定
 ◇指導内容の選択とカギとなる英文の精選 
 ◇ページのデザイン 
 ◇表現内容のストーリー性について
 40レッスンの指導のポイント一覧 
 40レッスンの活動例 L.1L.10 (Book 1) 
              L.11L.20 (Book 2) 
              L.21L.30 (Book 3)
              L.31L.40 (Book 4) 
 ◇早口ことば(久埜百合作)
 Workbook 
 
Wonderland Series 
 
 Wonderland Series制作へ向けて  
 ◇イラストに、ごちゃごちゃといろいろなものがあるのは何故? 
 ◇イラストを活用した指導例 
 
学年ごとに、どのテキストを選ぶか
 
 ◇1年生から開始する場合  
 ◇2年生、あるいは3年生で開始する場合   
 ◇4年生から開始する場合  
 ◇5年生から開始する場合
 
ポスター教材 
 
 ◇おおぜいで見られる教材を 
 ◇ポスターCD (CDスクリプトより転記) 
 
身近にあるホンモノの教材
 
 ◇新聞 
 ◇新聞の折り込み広告 
 ◇雑誌の切り抜き 
 ◇他教科の教科書 
 ◇世界地図や他教科の掛図 
 
 
第5章  子どもに教えられて辿った道
 
 ◇子どもを教え始めたときのこと 
   〜はじめから、子どもに英語を教えようと思っていたのか〜 
 ◇日本の子ども向け英語教材がなかった時代 
 ◇教材や教具としては、何を使ったのか
 ◇指導内容はどのように選んだのか 
 ◇理論的なサポートはあったのか
 ◇「子どもに英語を教えること」から離れた時代 
 ◇成城学園初等学校の子どもたち 
 English in Action を書くことになった経緯 
 ◇「音声による指導を基本」とする教材つくり 
 English in Action は、現場でどう受け止められたのか 
 ◇内容や題材を選ぶときに配慮したことは何か 
 ◇子どもたちの学びの様子 
 ◇聞こえたとおりに真似をする「そっくりさんゲーム」 
 English in Action 以外に使った本や教材はあるか 
 ◇「セサミ・ストリート」 
 English in Action から始まった20年以上にわたる教材制作の間、
  子どもたちにどんな力をつけたい、と考えてきたか 
 
おわりに 
 
お問合せ先: ぼーぐなん
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