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第2回子どものための英語教育研究会セミナー ご報告B 
 5年生から始める英語
お待たせしました。
1月6、7日に成城で開催されたセミナーの記録より、
「5年生から始める英語」(久埜百合)のコマをご紹介します。

先ず最初に、「年間せいぜい30時間程度しか英語の学習をしていないにしては、日本の
子どもたちは相当の力をつけていると思う」 というコメントから始まりました。

しかしながら、「どういう力をつけさせたいのか」と、日本人が描いているイメージは、
例えば、台湾や韓国の人たちが求めているものよりも、レベルが低いのではないだろうか。英語ができる」とは、どういうイメージだろうか。

Did you ever see a moose kissing a goose?
Did you ever see a fly wearing a tie?
Did you ever see a bear combing his hair?
Did you ever have a time when you couldn't make a rhyme? 
 注)'Down by the Bay’ by Raffi 
          http://www.songsforteaching.com/folk/downbythebay.htm
    http://www.amazon.com/Down-Bay-Raffi-Songs-Read/dp/0517566451
というようなライムを作って楽しめるという英語感覚、
大統領の演説を聴いて分かるというような力を将来つけてもらえることを目指したい。
先々、そういう英語力を蓄えていくためには、
「聞く」の蓄えがあるかどうか、「英語の音の流れ」が入っているかどうかが鍵となる。

   
「音が支えになる」が基本

  1.英語の語順感覚を身につけさせる

    机の上だから、desk on と考えてしまうような子ではなく、
    on the desk    in the box  と 感覚的に言える子に育てたい。
         このコツは、日本語で説明せず、いろいろな例を見せながら英語を繰り返し聞か
     せることです。

    英語のリズムを楽しめる、質のいい、高学年向きのライムをたっぷり経験させて
         おくとよい。

     例1) As I was going to St. Ives 
          ※ライムの意味を絵を描きながら理解させていくと、絵を頼りにして、
             すぐに後について言えるようになる
          ※上手に言えるようにすることよりも、イメージをしっかり覚えさせ
            ることが大切 

     例2) I can say my ABC    
  
  2.アルファベットの指導は、辞書を引くことを楽しめるようになるためにも大切
    文字の形を覚えさせることではなく、音をきちんと入れることが大切
 
    ABCソングは、家でおじいちゃんと一緒に歌えるね、弟や妹に教えてあげよう、
    というような動機づけをしながら練習するとよい。


  3.自分のことについて、簡単な自己紹介ができるようにする

    @英語は「主語」から始まる ということに気づくように育てたい。

    Ahe/she/you(単数)/you(複数)/we/they を感覚で分かるようにしたい。 
    
     子どもたちは、早い時期に、he/she が分かるようになる。
     たまたま先生が言い間違えて女の子をさして He ・・ と言ってしまったりすると
     その瞬間にどっと笑ったりする。   

    B自信を持って、自分でことばを発することができるようにしてあげたいが、
     低学年の頃とは異なり、自分に何ができないかが分かる年齢なので、安心して声を
           出せなくなる。

     例え話:
       
        脳の中にある英語を受け取る'入れ物' にinput された英語が溢れ出す時、英語が
       言えるようになる。これがoutput。だから、溢れるまでoutputを急がせない。
              充分に時間をかけて溢れるまで待っていたい。
       

       低学年の入れ物は、小さくてとても浅いので、すぐに溢れだすが、
       高学年の入れ物は、大きくて深い。たっぷり聞かせる、というinputが必要になる。
     

  4.ことばの全体像を見せる
                    
    例えば、Which would you like, spaghetti or sandwiches?  の言い方を練習して、
     覚えさせる という指導は、
    高校まで英語を勉強をしてきた人が、旅行のために英会話を勉強するというような場合
         には、大切かもしれないが、
    英語が実際に使われている状況を経験していない小学生にとっては、英語活動の時間に
     特別に選ばれた場面だけに通用する英語の表現を教えられ、言わせられ、暗記する、と
         いう指導を受けても、英語という言葉の仕組みを感じ取ることは難しく、英語の中で泳
         げるようにはならない。

    その時間に学習している語彙や表現だけで授業を行うのではなく、たまたま誰かが鉛筆
         をおっことしたりしたら、その鉛筆を拾って、Is this yours? No?  Is this yours? 
         と子どもたちに尋ねて回る、新しい筆箱を見つけたら、Is this new? と聞いてみるなど、
    たまたま出くわした状況を活用して、実際に経験するような場面を幅広く取り上げて、
     生きた英語を経験させておきたい。
    そのためには、とっさのTeacher Talk が大切。
    

 ●指導法について

    決まりきったフレーズやセンテンスを覚えさせ、練習させて言えるようなったら、歩き
         回ってみんなに聞いて周りましょう というパターンが定着しているようだ。
    友だちから何を聞かれるのか、自分が何を答えるのかが分かっている状態では、聞くと
         いう活動も、話すという活動もいい加減になる。

          また、この状態では、先生は子どもたちひとりひとりの英語を聞いてチェックすること
         ができないので、子どもが発している不完全な英語、間違った英語、英語らしい音の流
         れでない英語を、そのまま放っておくことになる。 
   
    
    指導法の提案:

    T:  おせちの中で何が好きだった? What did you like?
               ※注) お正月明けのセミナーなので、この質問になりました。
    S1: きんとん.
    T : You like きんとん.
         S2: 煮物.
    T : You like 煮物.
    S3: きんとん.
    T : You like きんとん, too.
            と次々に好物を言ってもらった後で、今度はみんなで、「誰が何を好きだ」と言ったかを
         記憶力で当てる。Do you like きんとん? No? Do you like 煮物?みんなでチェック
    するので、不自然な英語、いいよどんだ英語も訂正することができる。
   
    この活動だと、子どもたちは席に座ったままでOK。 
     クラス全体の英語も先生がコントロールできる。

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