ぼ〜ぐなん広場 (44) 思いがけないひとことたち | |
2学期に入って、4月に入学してきた1年生もだんだん学校生活に慣れ、頼もしくなって きているな、と思っていた矢先でした。授業の終わりにはいつも "Good-bye, everyone." "Good-bye, Ms Kasuya." とあいさつしあいます。そのあいさつが終わったら、ある子 がちょこちょこっと近寄ってきて「 "Good-bye." って、『さよなら』っていうこと?」 と確かめにきたのです。こちらが "Yes. It means sayonara." と受けると、さも満足そ うに道具をしまいにロッカーに走っていってしまいました。 "Good-bye." の意味ぐらいみんな知っていると思い込んでいたのですが、自分なりの生 活経験から類推して、くり返し聞こえてくる言葉の意味と機能を獲得していく姿に改めて 気づかされた思いでした。こうやって能動的に言葉とかかわりながら、たくましい言葉の 使い手になっていってほしいと思いました。と、同時に、ふだん授業の中で子どもが味わ うべきこうした醍醐味の部分を、自分がとくとくとしたり顔で台無しにしているのではな いか、と反省しました。 5年生の授業で、テキスト(注)に "I am a singer. I have a microphone." というよ うにいろいろな職業とその持ち物を対にしたやりとりが載っています。言えるものをどん どん言ってみようという活動をしていたとき、うっかり "I am a painter. I am a brush." と言ってしまった子がいました。他の子たちに「お前、ブラシなのかよ」とからかわれな がら、言った本人は苦笑いです。その苦笑いの中に余裕のようなものを感じ、うれしくな りました。最近、傷つきやすくて少しの失敗もしたがらない子どもの姿を目の当たりにす ることが多かったので、自分の失敗を客観的に笑える場面が英語の授業の中で起こったこ とがうれしかったのです。こんなふうに安心して英語とたくましく付き合っていってくれ ればなぁと思っています。 粕谷 恭子 (東京学芸大学) (注)ご関心のある方は、English in Action Textbook No.2 Lesson15 (久埜百合著 ぼーぐなん出版) をご参照ください。 |
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