たのしいな
HP  (13)

HP読めた、ということ
   
     
 英語学習を始めて丸2年経った2年生のクラスでのことです。子どもたちにすっかりお馴染みとなった曲を、
テキストのページの中から探すゲームをしていました。各歌のページには挿し絵と歌詞が載っていますが、
ページを見つけた後、歌いながらキーとなる絵に触ることが定着してました。 "Pussy cat, pussy cat, 
where have you been?  I've been to London to look at the …" と、いつもの様に 'queen' の絵に
触った後、一人の子が、続けて歌詞の中の 'queen'の文字にも触りました。すると、他の子も「あ、ほんとだ」
とでもいうように文字に触り始め、その日は皆で「文字触り」ゲームを楽しみました。歌いながら、歌詞の
文章全体を指で追っていく様子も見られ、キーとなる単語はみんな探し当ててしまった、という具合でした。

 子どもが知っている外来語がたくさん入っている99枚の絵カードがあります。一つ一つの絵カードの裏に、
その単語のスペリングが印刷してあるものです。いろいろなゲームを通して、その絵カードの語彙が子ども
たちにすっかり定着した頃、裏側の文字の面を使ってカード取りをすることがあります。普通のカルタ取り
の要領でゲームを進めますが、単語を聞いてカードを見つけたときに、それを裏返す、というルールにします。
そうすると、子どもたちの目の前で絵カードは次々と絵の面を下に裏返されていきます。すべてのカードが
文字の面になったところで、"So, where is the 〜?" と尋ねていきます。すかさず文字だけが一色で印刷
されている味気ないカードを指差す子どもたちの様子を見ていると、その答え方は記憶だけに頼ったものでは
ないことを感じます。例えば果物のカードを使ったとき、'pear' と聞いて 'pineapple' を取る子はいません。
'melon' を取る子もいません。学習2年目の1年生クラスでは、衣類のカードを使ったとき、'skirt' に対して、 
[s]…[k]…と文字を追い、'sweater' でも 'shirt' でもなく、'skirt' に辿り着く子どもたちの姿がありました。
なるほど、教えたわけではないのに、最初の音や、単語の長さに注目したりしているのだと、子どもたちの
思考回路の一部を覗かせてもらった気がしました。

 同じ絵カードを使った別な記憶力ゲームで、私が手に持っている最後の一枚のカードを当てさせる活動をすると、
あっという間に当てられてしまうことがあります。あまりに速く当ててしまう子どもに、「なぜそんなに速く当て
られるの?」と尋ねると、「だって書いてあるじゃん」と、裏面の文字を指されたことがあります。カードを持った
私の指の間から部分的に見えている文字を、ヒントにしているのでした。子どもたちは、なんと上手に「読みたい
ものを読んでいる」ものかと感心させられました。あるいは、自分にとって必要なものを目ざとく見つけて、読んで
いくことは、とても自然な成り行きなのかな、とも思えてきました。
                       
                                                          野田 かなえ  (中部学院大学)


    
   
  子どもに「英語を読み取る術」をあたえること

  それとなく文字を見るチャンスを与えておくと、「音」が入ったときに、子どもは自力で文字と音をつなぎ合わせよう
  とする、という現場のスナップ・ショットだと思って読ませていただきました。Seven Steps のような単純な歌詞の歌
  は勿論ですが、もう少し語彙の種類が多いTwinkle, Twinkle, Little Star のような歌でも、しっかり歌えるように
  なった頃に、突然、歌詞を発見し、読める、と指で文字を追うようになります。「だって、今まで、その歌詞の書いて
  あるページを開いて、絵を見ながら歌っていたじゃないの。」とは言いません。歌い始めたとき、メロディを知っている
  ので、CDや先生の後について何べんも聞いているうちに歌えるようになってしまった、無意識にでも歌詞が口をついて
  出てくるようになったとき、「おや、歌っているとおりに言葉が並んでいる!」という大発見をしてくれるのです。
  カードの裏にスペリングが書いてあるのを、「読めるようになる」のも、子どもの思考の中では実にいろいろな操作が
  繰り返されているのだと思います。その単語の音と最初の子音字を結びつけたり、単語のスペリングの長さを比べながら
  判断したり、どこが似ているか、どこが違うか、と考えながら、このカードだ、と手を伸ばす、そんな活動が心の中で
  起こっているのでしょうね。間違えてカードに手を出し、聞いた音のイメージとひっくり返した絵とが似ても似つかぬ
  ものだったときの、子どもの表情はたまりません。目を丸くして、あれかな、これかな、と手当たり次第にひっくり返し
  始めます。でも、気をつけていると、あるルールに従って手を伸ばします。よく聞いて、最初の子音字、あるいは最後の
  子音字で探そうとしています。そんな段階が、「読めるようになる」ワン・ステップです。歌にしても単語にしても、
  注意したいのは、このときに読もうとする音の固まりが、聞こえてくるリズムに合っていて、決して音素(シラブル)
  ごとに分かれていない、英語のリズムから逸脱していない、ということです。これが、子どもたちが文字に関心を持ち
  始める段階で、気をつけても気をつけすぎることはない、肝心要だと思います。英語の音の基本がしっかりしてくると、
  子どもは文字に近づこうとする、そのときに、音の流れを維持しながら、指でなぞったり、読める単語探しをしたりして
  いきます。書きたい気持ちがもうそこまで芽生えている時期です。このような態度が見えてくるのは、日本語でも同じで、
  音さえしっかり入っていれば、やっとこさっとこ平仮名を拾い読みしていても日本語の音が崩れないのです。でも1週間
  に30分前後の英語との出会いであれば、あわてずに高学年に近づくまで待たなければならない、待った方がいい、という
  ことになります。文字には触れさせておく、けれども教え込もうと無理強いをしない、これが鉄則です。
                                                (Y.K.)

                
読者からのお便り


お便り

     
  
 
 
 皆様からのご投稿をお待ちしております。
ahahahahaha


新設しました
ぼ〜ぐなん教材に関する質問・疑問にお答えします


読者の皆さまへ

 「ぼ〜ぐなん広場」をお読みいただいてのご意見、ご質問等を、ぜひお寄せください。
 尚、どういうお立場からのご意見であるのか ということも重要ですので、
 公立小学校教師・私立小学校講師・公立小学校のJTE・塾講師・学生等を明記願い
 ます。

 又、お寄せいただいたご意見を、この「ぼ〜ぐなん広場」でご紹介させていただく場合
 もございますので、
  @掲載させていただいてよいかどうか
  A掲載させていただく場合、実名・イニシャル・匿名 のいずれをご希望されるか
  Bご連絡先のメイルアドレス (ご送信いただいたメイルアドレスと異なる場合)
 もお教えくださいますよう、宜しくお願いいたします。     

 尚、ご投稿は500字以内でお願いいたします。
 原稿の一部のみをご紹介するなど、適宜編集させていただく場合もございます。
 予めご了承ください。

 ご意見のご送信先: kayoko-borgnan@nifty.com (ぼ〜ぐなん 岩橋)


リンク
現在までに掲載済みの「ぼーぐなん広場」リスト
研修・セミナーのご案内

久埜百合著教材のホームページ